甲状腺の病気

甲状腺は、正常では外からは触れませんが、病気で大きくなると首の前が腫れてきてわかるようになります。甲状腺ホルモンを分泌していますが、甲状腺ホルモンは生きて行くうえで非常に重要なホルモンで、病気で不足したり、逆に過剰になったりすると色々な症状がでます。症状が多彩のため、心臓の病気や、胃の病気等と間違えられることがあります。主な甲状腺の病気について説明します、自分の症状と合っているようでしたら内分泌専門医を受診してください。


甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる病気です。一番多い原因はリュウマチ等と同じで、本来は病原菌などを攻撃するはずの抗体が、間違えて自分の体を攻撃してしまうために起こります。これを、医学用語で自己免疫疾患と言います。遺伝する傾向があり、女の方に多いです。症状としては、脈が速くなる(胸がドキドキする)、汗がでる、暑がりになる、イライラする、痩せる(逆に食欲が増して太る人もいます)、手が振るえる、疲れやすくなる等で、甲状腺が腫れ、眼が飛び出て来るときがあります。


甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です。生まれつきの病気ではクレチン病といい、知能低下、運動機能障害が起きますが、現在は新生児検診で発見され早期に治療されるようになりました。成人での原因としては、次に説明する橋本病や、その特殊の型の特発性粘液水腫が多いです。症状としては、皮膚が乾燥してむくみ体重は増え、顔はむくんで生気がなく眉毛が薄くなります、また頭髪も固くなり薄くなります、無気力で会話は鈍くなり、声は嗄れ、眠たがりの寒がりやになります。


橋本病(慢性甲状腺炎)

原因としては、甲状腺機能亢進症と同じ自己免疫疾患と考えられていますが、しかし逆に甲状腺ホルモンは低下傾向となります。甲状腺は硬くなり腫れてきます。甲状腺機能が正常なうちは、それ以外に症状はありません。だんだん年数が経つと、甲状腺ホルモンの分泌が低下し甲状腺機能低下症となります。特殊な型の特発性粘液水腫では、甲状腺はほとんど腫れません。また、出産後に急に悪くなることがあります。


亜急性甲状腺炎

原因はまだよく分かっていません。症状は、発熱と、甲状腺から耳にかけての痛み、甲状腺の腫れた部分を押さえたときの痛み等です。よく扁桃炎と間違えられることがあります。炎症がひどいと甲状腺ホルモンが漏れだし、甲状腺機能亢進症の症状がでます。回復する途中には、逆に甲状腺機能低下となります。


甲状腺腫瘍

甲状腺の腫瘍には、良性のものと癌があります。癌と聞くと怖い感じがしますが、大部分の癌は非常におとなしく、何年もの間とくになにも起こらず経過します。一番多い癌は、乳頭癌と呼ばれるもので、リンパ腺に転移したり周囲に浸潤することもあります。次に多いのは濾胞癌で、血管を流れて遠くに転移することがあります。どちらもおとなしい癌で、早く発見されれば命にかかわることはありまん。未分化癌は、甲状腺が急激に大きくなり皮膚は赤く腫れます。これは非常に悪性ですが、まれです。髄様癌と呼ばれるもは、血圧が高くなる副腎の腫瘍である褐色細胞腫を合併し遺伝性のことがあります、これもまれです。血液の腫瘍である悪性リンパ腫が、甲状腺にできることがあります。 腺腫様甲状腺腫と言われる病気があります、一見腫瘍のように甲状腺が腫れますが、厳密には腫瘍ではなく心配はありません。


甲状腺に関する検査について

甲状腺の病気の治療法

 

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作成:中井内科クリニック  中井 晃

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