特殊な場合を除いて、内服薬から始めます。内服薬には商品名でメルカゾールとチウラジールがありますが、日本ではメルカゾールを最初に用いることが多いようです。最初はやや多めから使い、徐々に減量していきます。副作用としては肝機能障害や皮膚の発疹等がありますが、非常にまれですが怖いものとして顆粒球減少症があります。細菌を殺す白血球が減るため、高熱がでてのどが腫れたりします、このような症状がでたらすぐに受診してください。内服薬が効かないときや副作用がでた時には、手術やアイソトープ治療をします。ヨードやリチウムを服用して甲状腺機能を正常化した後、甲状腺の大部分を切除します。アイソトープ治療は、放射性ヨードを服用してその放射線で甲状腺を破壊します。放射性物質のため、若い人には勧められません。最近、甲状腺にアルコールを直接注入する方法が試みられています。
甲状腺ホルモン剤を投与します。商品名でチラジンS(T4)とチロナミン(T3)がありますが、チラジンSを投与することが多いです。最初は極く少量から始めて、徐々に必要量まで増やします。心臓の機能が弱っているため、治療開始時に狭心症などを起こすことがあります。胸痛を感じたらすぐに受診してください。
機能低下になっている時は、機能低下症の治療をします。甲状腺の腫れがひどいときや、低下症になる可能性があるときなどは、少量の甲状腺剤を使います。炎症がよくなり、進行が抑えられ小さくなるときがあります。
ステロイド剤が著効します、最初は多めに使い徐々に減らします。痛みに対して、消炎鎮痛剤を使います。
甲状腺癌は、原則的には手術にて切除します。乳頭癌はたちがよいため、経過観察でよいとの意見もあります。良性腫瘍は、放置してもかまいませんがあまり大きいときには切除します。最近甲状腺腫瘍に対して、アルコールを直接注入する方法が試みられています。
作成:中井内科クリニック 中井 晃